Q 遺留分減殺請求とは、どのようなものですか? 


A.  
1 遺留分
 遺留分とは、一定の相続人のために法律上必ず留保されなければならない遺産の一定割合〔民法第1028条〜民法第1044条)である。

 近代法では遺言自由の原則が認められ,被相続人は自己の財産を遺言によって自由に死後処分できるとするのが原則であるが,他方,近親者の相続期待利益を保護し,また,被相続人死亡後の遺族の生活を保障するために,相続財産の一定部分を一定範囲の遺族のために留保させるのが遺留分の制度である。

 したがって,遺留分は,被相続人からみれば,財産処分の自由に対する制約を意味し,相続人からみれば,相続により期待できる最小限度の財産の確保を意味する。

2 遺留分権利者と遺留分の割合
 遺留分の保障を受ける者(遺留分権利者)は,被相続人の配偶者と直系卑属及び直系尊属だけに限られ,兄弟姉妹は除外される〔民法第1028条)。遺留分の割合は,直系尊属のみが相続人であるときは,被相続人の財産の3分の1,その他の場合には,2分の1である。

3 算定
 相続開始のときの財産額に相続開始前1年間の生前贈与(及びそれ以前の贈与でも当事者双方が遺留分を侵害することを知ってした贈与)を加え,そこから債務全額を控除したものが遺留分算定の基礎となる額である(民法第1029条・民法第1030条)。この額に遺留分の割合を乗ずると遺留分が算出される。

4 遺留分による減殺
 現存の積極的相続財産から贈与や遺贈を差し引くと遺留分の額に達しないという場合には,遺留分が侵害されたことになるから,遺留分権利者及びその承継人は,遺留分を保全するため,贈与や遺贈の履行を拒絶し,さらに,既に給付された財産の返還を請求することができる(民法1031条)。
 その順序は,遺留分を保全するのに必要な限度で,まず遺贈に対して行い,次に新しい贈与から順次古い贈与に対して及ぶものとされる(民法第1033条〜民法第1035条)。
 減殺請求権は一種の形成権と解され,権利者の意思表示だけによって減殺の効果が発生する。この権利は,遺留分侵害の事実を知った時から1年以内,もし遺留分侵害の事実を知らなくても相続開始後10年以内に行使しなければならない(民法第1042条)。

【参考文献】新法律学辞典 第三版 有斐閣

(民法・判例)

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