Q.
 遺産分割協議を経なくても遺産分割登記できますか?


A.
 はい、遺産分割協議を経なくても遺産分割登記できます。

 いわゆる「相続分不存在証明書」を用いて、遺産分割を経ず遺産分割登記をする方法です。

 東京高等裁判所昭和59年9月25日判決・判例時報1137号76頁は、
「相続分不存在証明書の利用を遺産分割協議書の一形態とし、生前贈与の事実が伴わない相続分不存在証明書であっても、相続人の真意に基づいて作成された場合には、それによって取得分を零とする遺産分割協議が相続人間に成立したものとみて、相続分不存在証明書を付してなされた単独名義の相続登記に遺産分割協議の効力を認めた。」と判断した。

 本判決以前の裁判例の多くは、
 「生前贈与の事実を伴わない相続分不存在証明書であっても、相続人の真意に基づいて作成されたものである場合には、それによって相続人間に相続分の放棄や贈与がなされたものとみた上で、相続分不存在証明書はそのことを証する有効な書面として、これを付してなされた単独名義の相続登記に遺産分割協議の効力を認めていた」
 (高松高等裁判所昭和38年4月1日判決・家庭裁判所月報15巻7号94頁)
 (京都地方裁判所昭和45年10月5日判決・判例タイムズ256号155号)
 (大阪高等地方裁判所昭和49年8月5日判決・判例タイムズ315号238号)
 (大阪高等裁判所昭和53年7月20日判決・判例タイムズ371号94頁)

反対ー
 (大阪家庭裁判所昭和40年6月28日審判・家庭裁判所月報17巻11号125頁)
 (名古屋地方裁判所昭和50年11月11日判決・判例タイムズ334号285頁)

 なお、相続分不存在証明書に関する最高裁判所の判断は、いまのところ出されていない。

(参考:別冊ジュリスト 家族法判例百選[第六版] 有斐閣 162 2002年5月 112頁
 55 「相続分不存在証明書」と遺産分割協議の効力 小野憲昭 北九州市立大学教授)

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相続分不存在証明書