A.
相続の共有の性質
民法は、「自然人たる人(被相続人)の死亡により開始し、相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務(積極財産及び消極財産で
ある債務、つまり遺産)を承継する(民法第896条)。そして、相続人が数人いるときは、その相続財産は、その共有に属する(民法第898条)。」としている。
この共有の性質について、最高裁判所は一貫して、相続財産の共有の性質は、民法第249条以下に規定する共有と同一であるとしている(最高裁判所昭和30年5月31日判決・最高裁判所民事判例集9巻6号793頁)。つまり、遺産は、通常の共有とかわらず、遺産分割は、共有関係の解消手続きである。
民法第256条第1項は以下のように規定している。
「各共有者ハ何時ニテモ共有物ノ分割ヲ請求スルコトヲ得但5年ヲ超エサル期間内分割ヲ為ササル契約ヲ為スコトヲ妨ケス」
◆民法・第五編・相続の条文はこちら (法庫)
◆i-六法用語
最高裁判所昭和30年5月31日第三小法廷判決・昭和28(オ)163 共有物分割請求
判示事項:
一 相続財産の共有の性質。
二 遺産分割の方法
要旨:
一 相続財産の共有は、民法改正の前後を通じ、民法二四九条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではない。
二 遺産の分割に関しては、民法二五六条以下の規定が適用せられる。
参照・法条:
民法898条,民法256条,民法258条,民法906条,民法907条,旧民法1002条,家事審判法9条乙類10号,家事審判規則104条,家事審判規則107条
内容:
件名 共有物分割請求 (最高裁判所 昭和28(オ)163 第三小法廷・判決 棄却)
原審 東京高等裁判所
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人松岡末盛の上告理由第一、二点について。
相続財産の共有(民法八九八条、旧法一〇〇二条)は、民法改正の前後を通じ、民法二四九条以下に規定する「共有」とその性質を異にするものではないと解すべきである。相続財産中に金銭その他の可分債権があるときは、その債権は法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するとした新法についての当裁
判所の判例(昭和二七年(オ)一一一九号同二九年四月八日第一小法廷判決、集八巻八一九頁)及び旧法についての大審院の同趣旨の判例(大正九年一二月二二
日判決、録二六輯二〇六二頁)は、いずれもこの解釈を前提とするものというべきである。それ故に、遺産の共有及び分割に関しては、共有に関する民法二五六
条以下の規定が第一次的に適用せられ、遺産の分割は現物分割を原則とし、分割によつて著しくその価格を損する虞があるときは、その競売を命じて価格分割を
行うことになるのであつて、民法九〇六条は、その場合にとるべき方針を明らかにしたものに外ならない。本件において、原審は、本件遺産は分割により著しく
価格を損する虞があるとして一括競売を命じたのであるが、右判断は原判示理由によれば正当であるというべく、本件につき民法二五八条二項の適用はないとす
る所論は採用できない。そしてまた、原審は本件につき民法附則三二条、民法九〇六条を準用したことも原判文上明らかであるから、これを準用しない違法があ
ると主張する所論も採用できない。
その他の論旨は「最高裁判所における
民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重
要な主張を含む」ものと認められない(論旨第三点の理由ないことも原判決の判示したとおりである)。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
|