Q 相続税がかからない財産とは?
 


A.
 相続税法では、相続又は遺贈により取得した財産(みなし相続財産を含む。)であっても公益性や社会政策的見地あるいは国民感情の面から、相続税の非課税対象としているものがある。これを相続税の非課税財産という(相続税法第12条)。
1 非課税財産の種類
@ 皇室経済法第7条の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物(相法12@一)
A 墓所、霊びょう及び祭具並びにこれらに準ずるもの(相続税法第12条1項二号)
B 公益事業を行う者が取得した公益事業用財産(相続税法第12条1項三号)
C 条例による心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権(相続税法第12条1項四号)
D 相続人が取得した生命保険金などのうち一定の金額(相続税法第12条1項五号)
E 相続人が取得した退職手当金などのうち一定の金額(相続税法第12条1項六号)
F 相続税の申告書の提出期限までに国、地方公共団体、特定の公益法人又は認定NPO法人に贈与(寄附)した財産(租税特別措置法第70条)

 なお、香典は、被相続人に帰属しないため相続税の課税対象とはならない。

【参考法令・通達番号】
相続税法基本通達12−1、同12−2、同12−3、同12−4、同12−5、同12−6、同12−7、同12−8、同12−9、同12−10、租税特別措置法基本通達70−1−1〜70−1−14

2 相続人の取得した生命保険金などのうち一定の金額
⑴ この規定の趣旨は被相続人の死亡により相続人又は相続人以外の者が取得した生命保険金などのうち、被相続人が負担した保険料に対応する部分は、相続又は遺贈により取得したものとみなされ相続税の課税対象となるが、そのうち一定の金額は、非課税とされている(相続税法第12条1項五号)。
 これは、社会保障制度を補完する見地のほか、被相続人の死後における相続人の生活安定のため設けられたものである。したがって、この適用が受けられる者は、相続人(相続を放棄した者又は相続権を失った者を除く。)に限定される。
⑵ 一定の金額とは
 非課税とされる一定の金額は、次の算式のとおり500万円に法定相続人の数を乗じた金額となる。
(算式)
500万円×法定相続人の数=保険金の非課税限度額
(注)
1 すべての相続人(放棄した者等を除く)の取得した保険金の合計額が保険金の非課税限度額以下である場合には、その保険金の全額が非課税となる。
2 すべての相続人(放棄した者等を除く)の取得した保険金の合計額が保険金の非課税限度額を超える場合には、次の算式により算出した金額が、各相続人の非課税の額となる。
(算式)
保険金の
非 課 税
限 度 額×その相続人が取得した保険金の合計額/すべての相続人(放棄した者等を除く)が取得した保険金の合計額= 非課税の額
⑶ 法定相続人の数とは
 相続税法第15条第2項に規定されている相続人の数のことをいい、相続を放棄した者がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数のことをいう。
 ここでいう「法定相続人」とは、相続税法上のものである。
 ただし、被相続人に養子がいる場合の「法定相続人の数」に算入する養子の数は、次の区分に応じて人数が限定されている(相続税法第15条2項)。
@ 被相続人に実子がいる場合 1人
A 被相続人に実子がいない場合 2人
 なお、養子が配偶者の実子(連れ子)である場合、民法第817条の2第1項に規定する特別養子縁組による養子である場合又は実子等の代襲相続人である場合には、これらの者は実子とみなして@又はAの数を計算する(相続税法第15条3項)。

【参考法令・通達番号】
相続税法施行令3の2、相続税法基本通達3−1、同3−2、同12−8、同12−9、同15−1、同15−2、同15−3、同15−4、同15−5、同15−6

3 相続人の取得した退職手当金などのうち一定の金額
 被相続人が死亡したため相続人又は相続人以外の者に対し、被相続人に支給されるべきであった退職手当金などが支給された場合には、その退職手当金などは、相続又は遺贈により取得したものとみなされ相続税の課税対象となるが、生命保険金などと同様に相続人(相続を放棄した者又は相続権を失った者を除く。)に限り、取得した退職手当金のうち一定の金額は、非課税とされている(相続税法第12条1項六号)。
 なお、非課税となる一定の金額の計算方法及び金額は、2で説明したことと同様である。

(参考文献) 税務大学校講本 相続税(贈与税) 26頁

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