| Q 遺言とは、どのようなものですか? |
| A. 1 意義 遺言は,一定の方式に従ってされる相手方のない一方的かつ単独の意思表示であり、遺言者の死後の法律関係を定める最終意思の表示であって,その者の死亡によって法律効果を発生する(民法第960条〜民法1027条)。 遺言の制度を認めることによって、人は遺言により、生前だけでなく,その死後にも自己の財産を自由に処分できることになる(遺言自由の原則)。 2 遺言能力 遺言は、一定の法律効果の発生を目的とする意思表示であるから、意思能力を必要とすることはもちろんであるが、遺言は通常の取引行為ではないので、普通の行為能力を必要とせず(民法第962条)、満15歳に達した者であれば遺言能力があるとされ(民法第961条)、禁治産者も本心に復したときは立会医師の証明の下に遺言できる(民法973条)。 3 方式 遺言は,人の最終意思の表示であり,死後に効力を生ずるものであるから,意思内容の確定を厳にし,他者による改変やねつ造を防ぐため,厳格な要式行為とされる。わが民法が定める遺言の方式は次の表のとおりである。これらの方式にはそれぞれ要件が特定され,これに従わない遺言は効力を生じない(ただし、民法第971条)。 4 遺言事項 遺言により支配できる死後の法律関係は,財産上だけでなく身分上のものにも及ぶが,民法の定める10種の事項に限って遺言は許される。 すなわち, @認知(民法第781条2項) A遺贈(民法第964条) B寄附行為(民法第41条2項)〕 C後見人・後見監督人の指定(民法第839条・民法第848条) D相続分の指定(民法第902条) E遺産分割方法(民法第908条) F遺贈についての遺留分減殺方法(民法第1006条) G遺言執行者の指定又はその指定の委託(〔民法第1034条) H遺産分割の禁止(民法第908条) I相続人の廃除・その取消し(民法第893条・民法894条)〕 であり,それ以外の事項についての遺言は法律上の効果はなく,遺訓といった道徳的な効力しかない。 5 効力 遺言は,遺言者の死亡の時に効力を生ずるものであるから,その死亡前には何らの権利義務も発生せず,したがって,遺言者は死亡まで,いつでも自由に(遺言の方式に従って)遺言の全部又は一部を撤回できる(民法第1022条)。 なお,遺言の内容実現のため遺言の執行を必要とする場合には,遺言により,あるいは遺言で指定を委託された者による指定(民法第1006条),又は家庭裁判所の選任(民法第1010条)によって遺言執行者が選ばれ,遺言の執行にあたる(民法第1012条)。 6 遺言の種類 民法の定める遺言証書には,特別の方式によるもの〔民法第976条〜民法第984条〕を別として, @イ 遺言者が全文・日付・氏名を自書し押印した自筆証書遺言〔民法第968条第1項) A 証人2人以上の立会いの下に遺言内容を公証人に口述して筆記させ,各人が署名・押印した公正証書遺言(民法第969条) B 遺言者が遺言書に署名・押印の上,封印し,その封紙に公証人及び2人以上の証人とともに署名・押印した秘密証書遺言(民法第970条) の3種がある。 遺言証書は,各方式に定められている要件を厳正に具備しない限り無効である。 ただし,あまり厳格に解すると,無効となる遺言が増えてしまうので,判例は,押印の代わりに指印を認める(最高裁判所平成元年2月16日判決・最高裁判所民事判例集43・2・45)など,民法の規定の厳格さを少し緩和する傾向にある。 遺言証書は,変造を防ぎ,証拠として保全するために,公正証書遺言を除いて,相続開始後その執行に先立って家庭裁判所に提出して検認を経なければならない(民法第1004条)。 【参考文献】新法律学辞典 第三版 有斐閣 (民法・判例) ◆民法・第五編・相続の条文はこちら (法庫) ◆判例はこちらから 最高裁判所のホームページから最高裁判所判決・高等裁判所判決・地方裁判所判決が検索できます。 (法律用語) ◆i-六法用語
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